「これ、ほんとにやるんですか龍馬さん」
「もちろんだとも三波。練りに練って、修正に修正を重ねてようやく通った企画だからな」
DODOTVでは新たな企画が立ち上がろうとしていた。それは。
「もしも混浴温泉に美女が入ってきたら」
という企画である。そこで女性にちょっとしたゲームをしてもらい、むふふでおほほなエロ映像を撮ろうというわけである。
「ちょっと、いますごく不穏な単語があったんですけど!?」
「気にするな」
美女役には、テルマエ学園の生徒を使うことで学園の了承を得た。だがその前、に三波による試し撮りを行うことになったのだ。
そしてテルマエ学園長であるミネルヴァの紹介で、ある混浴の露天風呂を貸し切ることに成功した。
ただし、貸し切ったことは学園の生徒たちには秘密である。彼女たちは温泉には一般のお客様が入っており、その人たちにまたここに来たいと思わせることが必須と説明されることになっている。
温泉復興のためにひと肌脱ぐ! という彼女らの想いにも通じる企画なのである。
ミッション指令.その1「濱崎三波」編
温泉宿で荷物を下ろし、浴衣に着替えた三波、龍馬、そして岩田のいつものすちゃらかトリオである。
「誰がすちゃらかよ!」
「ツッコみはいいから、三波、このカードを持て」
「なにこれ?」
「それを持って温泉に入り、中にいるお客さんに引いてもらうんだ」
それはマジックで使うようなA4サイズのプラスチック製トランプに似ていた。裏はありふれたトランプの模様が印刷されていたが、表は白紙である。
「これで私にマジックでもしろと?」
「お前にできるわけないだろ! お客さんにそれを引いてもらったら、お湯につけろと言え」
「お湯につけるとどうなるの?」
「特殊インクで書かれているので、暖めると文字が浮かび上がる。それがゲームの内容だ」
「ふぅん……え? まさかそれって?!」
「察しがいいな。浮き出た文字に従って、お前とお客とでゲームをやってもらうという趣向だ。それまで内容が分からないほうがスリルがあるだろ?」
「内容によるけど、まさかまたエッチなやつじゃないでしょうね」
「エッチじゃなかったらこの企画が通るはずがないだろ?」
「あ、うん。まあ、それはそうかもだけど」
「エッチじゃなかったら三波は呼ばれないし」
「私はそういうイメージか!」
「「そういうイメージだよ?」」
「うっ、ぐっ」
これまでいくつもの温泉に行き、数々の仕事をこなしてきた三波は、もうすっかりDODOTVのエロ担当として勇名を馳せたいたのである。
「お前ぐらい脱ぎっぷりのいいアナウンサーは滅多にいないからな。今回も社長が期待してるって言ってたぞ」
「私は好きで脱いでるわけじゃ……もう、いいわよ、やればいいんでしょ、やれば!」
「そうそう、それがお前の一番良いとこだ」
おだてられてその気になった都合の良い女子アナ三波は、バスタオル1枚になって浴場に入った。そこには数名の男性客がいた。
もちろん、全員DODOTVの関係者(仕込み)である。ただし、三波は会った記憶はなくほぼ初対面である。
三波が浴室に入ると、10人近い男性客が入っていた。
(こ、こんなに大勢いるの? こっち見ないでよ)
しかし、言いつけられた仕事をしなければならない。後ろから岩田がついてきているのを確かめて、まずはシャワーだ。
カードを濡らさないように鏡の前に立てかけ、少し離れたところのノズルを手に取った。
本来ならタオルを身につけてはダメだが、そこはまあ、さすがに三波にも羞恥心というものがある。
そして一番近くにいた男性客に声をかけた。
「あの、私はDODOTVのアナウンサーで、今回こういう企画の撮影のためにやってきました」
後ろにいた龍馬が目配せをした。すでに話は付いているのだが、一応は一般客のフリをすることになっている。
「そ、そういうお仕事ですか。大変ですね」
「それでですね。ここから1枚、カードを引いてください」
「これですか? じゃあ、これで」
「それではそれをお湯につけてください」
「これをお湯につける? はい、つけました……あれ、なんか文字が書いてありますね」
「なんて書いてありますか?」
「えっと、読みにくいな。一番近くにいる女性、の身体についた水滴を、舌で舐め、ごぉぉぉん、痛いっ!」
セクハラされたと勘違いした三波は、思わず近くにあった風呂桶で男性客の頭を思い切り殴ってしまったのだ。
岩田や龍馬のセクハラに慣れていた弊害である。本人としては、ちょっとしたツッコみのつもりだったのだが。
「痛たたたた。ちょっと、ひどい。読めっていうから読んだだけなのに痛いなぁもう」
「ご、ごめ、ごめんなさい。ついイヤらしいことを言われたのかと……え? 書いてあったですって?!」
「そう、もう叩かないでよ? ここには、一番近くにいる女性……あなたのことですよね? の身体についた水滴を、協力して? 舐めとれ。と書いてありますけど」
三波は岩田と龍馬を振り返る。ふたりで息を合わせるように、GJ! という印を結んでいた。
こいつらぁ……。
「三波、それがお前がやるゲームだ。書いてある通りにしろ」
「ぐぐっ」
「あ、あの。まさか、この内容って?」
「はい、その通りです。いま、うちの女子アナがそこに書いてある通りにしますので、ご協力をお願いします」
「え、だって。そんなこと。こんなキレイな人にそんなことを?!」
何度も書いたが、客は仕込みである。ただ、普段は現場に出ない経理や営業を動員しており、お互いに直接の面識はなく三波にとっては初対面である。
仕込み客たちは、映像で三波を見てはいる。しかしこうして会うのは初めてである。さらに、龍馬たちの企んだゲームの内容も知らされていなかった(というよりついさっき龍馬と岩田のふたりで決めたばかりである)。
だから、男性の驚きもリアルであった。
「ちょ、ちょっと龍馬さん、こんなこと聞いてない!」
「言ってないからな。それじゃお客さん。近くの人にも協力してもらって、さっきシャワーを浴びたばかりの三波をイカせ……水滴を舐めとってください」
「いま、なんか嫌らしい単語が混じってなかった? いや、そうじゃないわよ。どうして私がそんなことまで?!」
「「ゲームのルールです」」
「わぁぁぁぁぁん」
「ここで撮影する許可はもらっているから、遠慮なくどうぞ」
「じゃ、じゃあ、そこでガン見している同僚の協力を依頼しても?」
「はい、OKです。三波、3名様ご案内だ」
「ご案内じゃないわよ。ほんとにするの?」
「さぁ、どうぞ!」
岩田も龍馬もまた勝手なことを言いやがって。どうしてここの企画って私が担当になるとイヤらしいものばかりになるのかしら? まったくもう。
「そ、それじゃ遠慮なく」
「ひぃぃぃぃ」
●さて美人アナウンサーの三波はどんなミッションを受けるのか!?それにテルマエの生徒たちの運命は!?ここから先を読みたい方はログインしてね。
まさかそんなことがあるわけないと思いながらも、万が一そんな……と考えたとき、怖気をふるったのは由香で、千秋は排尿した部分と違うところがじっと濡れてくるのを感じていた。
(私って、露出狂の気があるのかしら、あぁああ)
終わり
東京テルマエ学園 本作品を読みたい方はこちらまで。本編も読んで、こっちも読めば、2度美味しいです(笑)
https://tokyo-terumae.com/
なかなかいい絵をかきますね
素敵ですよね
私も更新が楽しみです!!!
毎回楽しみにしてます!
私も楽しみにしています
待ち遠しいです
すごい展開になってますね。
いい企画ですね
こんな企画参加したい
企画がいい
うん、やっぱり楽しい
こういうの良い企画です